開業80年を超える老舗の鮨屋を現在取り仕切るのはまだ若い3代目。
おまかせ鮨の多い東京で、お客の好みで握ってくれるお店を探していたので紹介者さまには感謝&感謝でございます。
お好みでといっても、前回もそして2回目の今回もカウンター席で次々に作られているお料理を見ているとつい食べ過ぎてしまうのですけどね。
場所は飯田橋駅のすぐ近くなのですが、タクシーで行くので目印はメトロポリンタンホテルにしています。夜ともなるとあまり人通りがない狭い道を通りますので、メトロポリタンのライトが見えると道を間違えてないとホッとします。
三代目と染め抜かれた麻暖簾を潜ってカウンターのコーナー席、同行者と話しやすい上にちょうどまな板の正面辺りになるから私にとっては特等席です。今回も満席でほどよい活気があります。
包丁さばきとソツのない客あしらいが店主より年齢高めの常連さんを惹きつけています。
前回は3月下旬で桜がテーマのランチョンマットでしたが、今回は蕪の絵柄でした。
飲み物は迷ったけれど、やはり魚には日本酒でしょうということで、そして初めての熱燗です。冷酒しか飲んだことがないので大丈夫でしょうか?
お酒はぬる燗で飲むべし!と聞いたことがありますが、私にそんな粋なことができるのでしょうか?まぁ、何事も経験なのでまた大人の階段を一段上がると思って挑戦してみることにしました。
銘柄は聞かなかったし、お店の人も言わなかったので不明ですが、決して甘くなくまったりとそしてほんのりとした飲み口でした。
スタートの一皿目は...
無花果と柿の白和え
次々にお皿を載せますね!
鮃(ひらめ)と真鯛のお造り
白しょうゆ+梅のタレ、別皿に梅風味の塩昆布添え。白身魚を酸味の聞いた梅干し風味がよい塩梅です。
鮪 中トロ
幅広に切った鮪の中トロ部分です。とろけるだけでなく弾力が楽しめました。後口に筋が残ったがちょっと気になりましたが、些細なことですので大丈夫。
鱈の白子 葛仕立て
目ネギとカボスのトッピングで、カボスの香りがまったりと優しい出汁にキリリと緊張感を出していました。出汁は何でとったのかな?昆布はわかるけど、魚の種類が・・・もしかしたら鱈出汁なのかな。
つぶ貝のお造り
大振りに切ったつぶ貝、独特の香りと食感があって興味深くいただきました。ミル貝とは異なる香りです。貝類ってほんとに旨味が多くて、噛めば噛むほど美味しいです。
江戸前鮨ってほんと貝が多いですね。それが普通なのかもしれないけど、私の実家では貝はそれほど食べなくて、鮨の割合は魚が多いので、貝類が出ると嬉しくなります。
蒸し蛤(はまぐり)
大きな大きな蛤です。最近には珍しくデカイ!そして旨味も只者じゃない!お汁も全部いただきました。少し火を通した方が旨味が増します。
あぅ、まだ握りに入ってないのに6品も食べてしまいました。お店に入る前は、3品で充分と店主さんに言おう!とかたく心に決めていたのに、カウンターに座って見ているとどれも食べたくなってつい言えなかったんですよ(苦笑)私ってばほんと小心者だわ。
そろそろ酔いも回ってほんわりと良い気分になってきました。
「そろそろ握りますか?」とようやく言ってもらえたので、ほっとしてお鮨気分に切り替えます。
ここで小皿が全部下げられます。そうなんです、なかや寿司ではお鮨に味をつけて出してくれるので、お醤油のお皿が不要なんです。カウンターには醤油差しも置いてありますし、小皿もランチョンマットの隅っこに置いてくれますけど、基本お醤油はつけなくても大丈夫。今回は巻物のときにちょこっとだけお醤油を使いました。
なかや寿司の初代はお米農家の出身ということで、今でもご実家のほうでこのなかや寿司のためにお米を栽培していて、天然干しの魚沼産コシヒカリを使っています。今回は新米の季節だからでしょうか、少し柔らかめのご飯でしたが甘みがあって澄み切った味でした。
鰹(かつお)
新鮮で美味しい鰹でございました。戻り鰹の玉ねぎ風味の醤油漬けでした。握りはなるべくご飯を小さくしてもらっています。そのせいかとても厚みを感じた鰹でした。
鯛
魚の上にはうっすらと醤油が塗られ、ユカリをトッピングしています。梅の風味がよく合います。
カワハギ
このカワハギ、身の下に肝を潜ませています。噛むと少しねっとり感があり、味がふわっと広がりました。カワハギといえば、京都の直宮下で食べた肝醤油をくぐらせるお刺身を思い出しました。カワハギはやはり肝も一緒に食べると美味しいですね。肝も一緒に口に入るとは素晴らしい!この握りもカワハギの表面にひと刷毛、醤油を塗っています。薄い色の醤油ですが、物足りなさはなくて充分アクセントになっていました。
雲丹
おぉっ!雲丹ですよ〜!しかも好きなタイプの小粒の雲丹。まずはお箸で一番上部のひと切れを摘みます。いつも一切れ雲丹だけ食べてから次に丸ごと頬張るという、2口で食べることにしています。ごくんと飲み込んでから思いました。雲丹はドリンクだ!ニヤニヤと顔が緩むのを止められません。
帆立貝柱
おすすめの帆立の磯辺巻きです。炙った帆立に醤油を塗って、海苔でくるりと巻いてくれます。手渡しで受け取り、そのまま齧ります。
ここまでで5カン!
これで私の握り鮨は終了です。予定では腹八分目だったはずなのに、もうすでにお腹いっぱいです。後は巻物を摘むと完璧です。
鉄火巻き
マグロを叩いて準備しているところを見たら食べたくなって作ってもらいました。色から推察するに中落ちの部分ではなかろうか?極く細いおしんこが少量挟んであって好い感じでした。この時に自分でほんの少量お醤油をつけて2切れほど食べました。
ここはほんとうに素敵なお皿を使ってます。
穴胡
柔らかく煮た穴子を軽く炙って、千切り胡瓜と一緒に巻き込みます。ツメはこってりしていて甘く仕上げています。上から柚子をすりおろして完成です。
デザート代わりにこのツメを使った穴胡で今回のお鮨を締めました。
鮨屋で満腹まで食べるなんて・・・と思いながら今宵も満腹になりました。
鮨というのは季節感や捕れた場所へのイメージとか、魚の身の繊維の具合などに思いを馳せて食べることにしています。記憶のなかで味が混じらないように、5種類をゆっくり味わって食べたいといつも思うのです。なかなかそういう機会には恵まれませんが、なかや寿司ではそれが可能なんです。私にとっては貴重なお店!
私は食べませんでしたが、写真だけ撮らせていただきました。
コハダ
海老
蟹の雲丹和え
見ただけで罪深そうな取り合わせですこと!食べない私も喉が鳴りました。
穴子握り
抹茶ハイ
酎ハイの抹茶割りです。意外に合うので驚きました。
いかがでしたか?『なかや寿司』でのひと時が伝わったでしょうか? 江戸前鮨屋のお任せコースのみというお店の多いなか、量を必要としない私には敷居が高いお店が多くてなかなか鮨屋に足を運べない日が続いていました。カウンター鮨の醍醐味は握り手とお客の対話にありますから、この『なかや寿司』にはもう少し通って回を重ねながら若き店主さんとのやりとりを楽しみたいと思います。
なかや寿司 三代目 website
住所:東京都千代田区飯田橋3-7-6
予約番号:03-3264-1740
営業時間:ランチ月~金曜日 11:30~13:30
ディナー月~金曜日17:00~23:00
土曜日17:00~22:00
定休日:日曜日