あんかけスパにするかに味噌煮込みにするか、いずれにしても『なごやめし』を食べようと意気込んで降り立った名古屋駅。時間も正午少し前なので、行列も少なかろうと予想していました。
ところが出口を間違えて、お目当のお店までには一番遠い改札から出てしまいました。
ご存知ですか?最近の名古屋駅を。綺麗になったのはよいのだけど、すっごく広くなって端から端までは電車に乗って移動したいくらい遠いのです。
どうしようかと思いながらふと見ると、『ミッドタウン』という看板が見えました。そうそう、ミッドタウンには私が行きたいパンやお菓子の材料屋さんとディーン&デルーカがあります。とりあえずそこから攻めてみましょうと足を向けてみました。
そして見つけてしまったのです。懐かしいお店の看板を!
『蔵人厨(くろうどくりや) ねのひ』は、東京・有楽町のお店によく行っていたのです。お江戸で歩き疲れた時や食欲のない時に、ほっと癒されるお昼の献立があるうえに、気配りのできる店員さんが居て、懐いてしまっていたのですね。閉店になってすごく寂しく思っていました。
案内板に従ってミッドタウン4階のお店の前まで行ってみると、同じ献立があることが判明しました。『おばんざい膳』(1300円)です。迷いません、これ一択です(笑)
正午前だというのにもう順番待ちができていて、数分だけ待ってカウンター席に案内されました。
客席入り口には本日の魚を入れたケースがあります。
奥には美味しそうなお酒が並んでいます。それはそうだ、ここは酒屋さんが経営するお店です。お酒だけではなく、味噌や醤油などの調味料も作っているはずです。
広いカウンターの向こうにはきびきびと働くスタッフが居て、その動きを見るだけでオヒトリサマでも全然退屈しません。
ほどなくして、お漬物3種と寄せ豆腐が届きました。
寄せ豆腐は添えられた塩で食べます。塩がなくても大丈夫だけど、塩を少々かけた方が味に深みがでるかなってところです。
お漬物は、酒粕でつけたものだから奈良漬に似ています。これが素晴らしく美味しくてご飯のおともにぴったりの相性です。柴漬けと沢庵も良いレベルだけど、粕漬けのものが突出して美味しかったから霞んでしまって残念でした。
しばらくするとおばんざい盛り合わせが運ばれてきました。
焼き方の近くだったので、焼くところ見てましたけどね!
その日のメインはハタハタの一夜干しでした。
八寸のように盛られたお皿は、卵焼き、青菜のおひたし、里芋、きんぴら、大根おろしが上品に並んでいます。
私一番気になっているのが、きんぴらです。これは東京店もそうだったのですが、大ぶりに切った牛蒡と人参、そしてコンニャクの中までしっかりと濃い味がしみています。牛蒡に至ってはゴリゴリと音がでるほどの硬さです。すごく印象深いきんぴら牛蒡なんです。
そしてメインのハタハタの一夜干しは、焼き方がちょうど良い塩梅でございました。
ちらっとお隣の人のお皿を見ると、ハタハタの頭が残っていません。もしかしたら頭ごとバリバリと食べてよいのでしょうか?
ちょっと悩みましたが、頭はそっと外して身だけ食べました。もちろん骨も一緒にイっておきました。
注文をとるときに、「本日のお味噌汁は赤だしと粕汁から選んでいただきます」と言われました。いいね、いいね!ぶり返した寒い日に粕汁っていいよね。そして造り酒屋の酒粕ってとっても美味しいんだよね?
粕汁に一瞬気を取られたのですが、実は粕汁が苦手な私。頭ではわかっていても粕汁の選択はありませんでした。
ということで、大根・里芋・人参・牛蒡・コンニャク・鶏肉などが入った具だくさん赤だし味噌汁となりました。
写真ではわかりにくいですが、この器、とっても大きな味噌汁椀です。ご飯とこのお味噌汁だけでもお腹いっぱいになりそうです。赤味噌に馴染みがなく、濃いはっきりした味のお味噌汁でしたが、それなりに美味しくいただきました。
ご飯には、お漬物だけではなくチリメン雑魚も付いてきました。
ご飯に辿り着くころにはもうお腹がいっぱいなのに、雑魚を乗せてみると、食べないといけないような気になります。
ご飯とお味噌汁を少し残してしまったので完食ではありませんが、かなり食べることができ、幸せな気分でお箸を置きました。ご馳走さまでした。
入るときには気がつかなかったけど、店舗正面にお米を盛った樽が置かれ、雰囲気を盛り上げていました。