秋のある日、思い立って信楽へ行くことにしました。
山の中ですから紅葉が綺麗なはずです。
新蕎麦と紅葉ってとても似合ってると思いませんか?黒田園の情報を検索してみると、なんと九割!小麦粉が一割に蕎麦粉が九割の配合なんだそうです。
十割や二八はよくありますが、九割というのは私としては珍しい。
かなり前に、信楽焼き作家の工房を訪ねたことがありましたが、今回は人生2回目の信楽の里への旅でした。
ナビがありますから、迷うことなく・・・と言っても、信楽に到着してみればそれほど道は多くない。黒田園まで一本道でございました。
広い駐車場完備でお店の佇まいも年季が入っています。
入り口にはウエイティング帳がありますのでかなりの人気店かと思われます。
到着したのが午後1時過ぎ。お昼時の混雑が一段落したころでしょうか。ちょうど待ち客も居なくて、すぐに炉端の席に案内してもえらえました。
私の後のお客さんからは少々お待ちくださいと言われていたので、本当にタイミングがよかったと思います。
一歩店内に入ると、土間になっていて、太い柱や梁が年代を感じさせてくれます。こういうのって新建築では絶対に表現できないものなので、感心したようにほうっとため息混じりに見上げてしましました。
上の写真の左手には広い座敷席が続いています。
私が通された大きな囲炉裏は入り口入って左手で、ベンチ席になっています。靴を脱がなくて良いので安心しました。うん、正座が苦手なので、畳の座敷席だったら困るところでした。
囲炉裏の上には大きな魚が・・・こういうのって何て言うのでしょうね。
さて、注文ですが、到着直前までかなり迷っていました。
天ぷらもあるし鴨もある。セットや温かい蕎麦もあって、迷うこと迷うこと。
しかし席に座ってみると、やはりシンプルなものが一番だと思い直して、『もりそば』を注文しました。
手打ちの新蕎麦九割を堪能するにはこれですよね!!!
保存方法が良くなっているので、一年中美味しい蕎麦を食べることができますが、はやり収穫直後の蕎麦は香りが高く、とても美味しく感じます。
南半球でも蕎麦を栽培しているので、今は夏に新蕎麦を食べることができますが、やはり晩秋の新蕎麦は国産と思いたい。日本の秋を楽しもうと思います。
しばらくして届けられたもりそば。
丸くまとめた蕎麦は写真で見ると小さく感じましたが、なんとかなりの盛り具合であります。
十割よりやや白く、更科のように細くなく、蕎麦を楽しむには十分な太さがあります。
ツユもかなりのこだわりがあるようで、運んできた店員さんが少し説明してくれました。
確かに上質な節の香りと旨味に醤油の旨味が加わって、田舎で食べる蕎麦ツユとしてはすごく美味しいものでした。
私が注目したのが、薬味です。
山葵と大根おろしとネギ!
ネギが青ネギなのに少し驚きました。江戸前の蕎麦ではないというのがよくわかります。
蕎麦を一口、口に入れてびっくり!
固茹でです。とっても歯ごたえがあって、もぐもぐとかなり長く噛まないと喉を通りません。
この香りと味の力強さ、奥深さは、石臼挽きと粗挽きを併用した恩恵でしょうか。黒田園の説明にもあるように、なんともいえないもっちり感が魅力的です。
あれ?蕎麦ってドリンクじゃなかったかしら?
するすると飲み込めない蕎麦は危険ですが、ここの蕎麦は長さが短めなんです。
上手く口に入るような長さになっていて、気が利いているなと思います。
噛んで噛んで、ようやく喉を通る蕎麦を楽しんで、ついでに薬味も楽しみました。
最近、ネギを敬遠してしまう私は、山葵と大根をつけて味比べ。
この大根、蕎麦好きの人ならすぐピンときたでしょうね。
普通の大根ではありません。辛味大根と言って、少量でもかなり辛い大根です。山葵とは違う、そして一味唐辛子でもない独特な辛味があり、この九割蕎麦にはとても合っていたように思います。
食べ終えるころに届いた蕎麦湯は、少しとろっとしたものでした。ほんの一口だけ味見をしてごちそうさまをしました。
熱いお茶を差し替えてもらって一段落した後、お会計に向かったのですが、レジ前に揚げ玉が置かれているのを発見!
欲しいと伝えると、どうぞどうぞと袋に入れてくれました。
この揚げ玉は、今はうちの冷凍庫に鎮座して、お好み焼きを作る時に活躍しております。
山ん中にポツンと一軒の蕎麦屋。とても美味しい九割蕎麦の旅でした。
手打ちそばとお茶の店 黒田園
住所:滋賀県甲賀市信楽町上朝宮271-1
営業時間:11:00〜17:00 (なくなり次第終了)
定休日:月曜日・第3火曜日
ウエッブサイト:http://kurodaen-shigaraki.com/