久しぶりの浜松は、弁いちにやってきました。
肴町にある老舗の乾物屋さんの前を通り、バルや鮨屋を横目に見ながら、弁いちの看板を探します。
間口の狭い弁いちの玄関は、うっかりすると通り過ぎてしまいます。
打ち水をした入り口に立ち、引き戸を開けるとお香の匂いに迎えられ、戸を閉めてしまうとそこはすっかり弁いちの世界になります。
1階は玄関だけで誰も居ないので勝手に2階にあがります。上がったころ正面は厨房へのアクセス口になり、左手の会計エリアに店主が座っていることもあれば、厨房から迎えに出てくれることもあります。
今回は、前回と同じ部屋に通されました。
寒い中を歩いて来たので、ここはやはり燗をした温かい清酒でしょう!ということで、以前にも飲んだことのある『風の森』お勧めしていただきました。
メーカーお勧めは、常温くらいの極温燗。冷たくはないと言う程度の温度でしょうか。
そして3種類の強肴。
ひとつは今年最後の収穫の丹波の黒枝豆です。
もう一つの器には、バイ貝と椎茸の湯葉和え、そして、自家製カラスミです。
どれもお酒にぴったりなので、あまり飲めない私もお酒が進みます。
次に出て来たのが、同じく風の森ですが、創業300年記念ボトル。え?最近までこのお酒をしらなかったけど、すごい老舗だったんですね。これは冷たいのをいただきました。
軽い口当たりが心地よく、とても喉越しが柔らかい。美味しいお酒でございました。
そして椀物がでてきました。朱塗りの椀に澄み切った汁。手前にノドグロのつみれ、奥に上庄(かみしょう)の里芋が入っています。
上庄(かみしょう)の里芋というのは福井県産で、荷崩れの少ない人気の里芋なんだそうです。大ぶりの里芋は味が濃くてホクホクしていました。
対照的にノドグロのつみれは柔らかく、しっとりとした食感でした。
そして驚くのは澄み切った出汁です。弁いちの出汁は、最初に訪れた時からその魅力に降参していますが、今までよりもすっきりとした味に感じられ、それを素直に口に出すと、店主が教えてくれました。
弁いちが毎日出汁をとる直前に、近所の乾物屋が血合いをはぶいた鰹節の削りたてを届けてくれるのだそうです。
どうりで混じり気のない純な味がしたのだと納得しました。
次にお造りは、鯛と甘鯛の2種盛りでした。
同じ鯛の種類なのに、色も繊維も食感も違う。その違いを楽しみながらお酒が進みます。
日本料理のお刺身といえば、私はこの弁いちを思い出すくらい、毎回魚のいろんな味を見せてくれます。
焼き物は、黒ムツです。
淡白でほっこりとした身に、大根おろしをたっぷり添えていただきました。
とうとう最後のお皿です。
2週間熟成させた北海道の短角牛でした。脂肪が少なくて、赤身を楽しめる牛肉です。
ご飯は、鹿肉と舞茸の混ぜご飯でした。
鹿肉のそぼろは甘口で、舞茸の食感がアクセントになっています。
胡椒が大人の味を作っていました。
焼き物を食べたあたりで、かなりお腹いっぱいになっており、短角牛ではお腹をさするくらいでした。
でも、ご飯とお味噌汁もいただきました。
そしてさらに、若いスタッフが作ったと言うデザートまで・・・
ねっとりとした薩摩芋を使った芋羊羹です。
お腹いっぱいと言いながら、美味しくて食べてしまいました。
毎回、どんな料理がでてくるのか楽しみなる弁いち。自分で探し出したお店ですから愛着もひとしおです。
来年もたぶん来ることができるでしょうが、美味しく食べることができるように健康で居なければなりませんね。
そんなことを思った浜松の夜でした。
割烹 弁いち
ウエッブサイト:http://www.benichi.co.jp/
住所:浜松市中区肴町313-13
営業時間:17:30~23:00
定休日:日曜日
予約番号:0120-88-2216